Designer interview Rina Bernabei
「ついに会えたわ!!」と満面の笑みと共にJAUショップにやってきたのは、JAUデザイナーが紹介しているデザイナー、Rina Bernabei(リナ・バーナビー)
プロダクトデザイナーとして30年以上の経歴があり、これまでに様々な製品を手がけてきたRina氏。オーストラリアのプロダクト業界ではもちろん、デザイナー業界にも彼女の存在を知っている人は多く、JAUで取り扱うSeljakブランドやHenry Wilson, Piped Dreamのデザイナーなどとも交流があるとのこと。
経験が長いから必然的につながる人が多いのよ。と笑いながら語っていたが、彼女の人柄や仕事に対する愛情が彼女の人脈を広げてきたのではないかと思うほど、気さくでオープンな方でした。
今回は、そんなRina Bernabeiに、彼女のデザイン・プロダクトがどのように形成されてきたのか、また、彼女が挑戦したいこと、JAUとのコラボレーションによるオリジナル製品の製作秘話などをたっぷりと語っていただきました。
ぜひ、おうちにある「ハンドメイドカップ」 でコーヒーやお茶を飲みながらゆっくりとブログを読んでみてください!
(ブログの中で、「ハンドメイドカップ」 に対するRina氏の想いが綴られています。)
- デザインは目の前にいきなり現れるわけではない。それは、根底にひっそりと座っているもの。
オーストラリア人は、環境や空間に対する意識が少し異なっていると感じている。それは、自然に囲まれていて、いつも自然と共にいるから。
ビーチに近い海岸沿いのリラックスした雰囲気が特別なシドニー。その中での生活スタイルが、自然な要素としてアートに入り込んでいると思う。
デザインは目の前にいきなり現れるわけではない。それは、根底にひっそりと座っているようなもので、美しいものに囲まれているオーストラリア人の世界に対する姿勢がデザインやプロダクトに反映されていると考えます。
- ”心”という感情のレベルで製品と使い手がつながるようなモノを作ることを目指している
30年以上の経験があるが、ようやくここ最近、自分の立ち位置が見えてきた。
プロダクトデザインに長く携ってきた私にとって、陶芸家としての活動は、感情のままに表現できる自由さを与えてくれる場所なの。
プロダクトデザインの製作工程は常に正確でなければならなくて、ミリ単位での作業が求められる、とても神経を研ぎ澄ませる必要があるの。だからこそ、陶芸では自由さと程よいゆるさでいたい。
でも、私にとってそれはまだ難しくて、やっぱり細かくなってしまうの。私の陶芸製品は、プロダクトデザインの精密さと陶芸の自由さの間にあると思う。
例えば、ランプなどの家具をデザインするとなると、実際に出来上がるまでに数年かかる。一方で、クレイはすぐに出来上がる。そして、特に、轆轤の上では何かミスがあれば、すぐに目の前で確認することができる。これが、私が陶芸の好きなところ。そして、自分の手で作ること、それが陶芸製品には特別な想いや価値を注ぎ込むことができる。
私はプロダクトデザインや陶芸家としての活動以外にも、学術的な仕事も30年以上続けています。私の研究は常に、Emotions (感情)という軸でプロダクトデザイン、陶芸を考えてきました。
私のものづくりの中でいつも心がけていて、挑戦していることは、製品と使い手が”心”という感情のレベルでつながるようなモノを作ることです。これによって、使っている人は製品を長く愛用し、最後には代々受け継いでいってくれるものになると思っています。
陶芸製品ではこれをより感じることができると思う。
例えば、毎朝コーヒーを手作りの陶器カップで飲むとする。言葉にするのは難しいけど、やっぱり手作りならではのぬくもりや感情が感じられ、愛着も湧いてくると思う。
陶芸を初めて約6年
約6年前に陶芸のコースを受講したのをきっかけに始めました。
始めた当初は陶芸の難しさを痛感していました。陶芸を初めて数ヶ月たった頃、陶器のカップを探している方が訪ねてきて、私が作るカップを気に入ってくれ、注文が入るようになりました。
注文が入ったことで必然的に陶芸の練習にもなり、皆さんから頂く沢山の注文が私の陶芸技術を成長させてくれました。
JAUコラボレーション製品、製作秘話
オリジナル製品は、JAU代表Sonnyとの会話を通して生まれました。
このコラボレーションの話が動き始めたころ、Sonnyから”何かスピリチュアルなモノ”が欲しいと話がありました。
どんな形がスピリチュアルなのかと悩み、お香立てはどんなものがあるのかとリサーチもしました。
まず初めに、出来上がったものがdonutsです。初めは展示会のためにdonuts型の製品を作りました。その時に、この形はお香の灰も収まり、お香立てに合うのではないかと思ったことから、製品になりました。
donutsが出来上がったあと、もう一つ違った形のお香立てが欲しいとSonnyから依頼があり、いくつかのデザインの候補の中で選ばれたのがmushroomです。
モノに対してもキャラクター性やパーソナリティーを感じて、愛着が湧く、日本特有の”かわいい”文化がこのmushroomには反映されているのではないかと思っています。
日本で販売されるJAUオリジナルならではの製品に仕上がりました。
人との会話を通して、完成させていく
今回のコラボレーション製品のデザインに限らず、私はデザインをする上で、人と対話をしてモノを作り上げていくことが自分のスタイルだと思ってます。
机を目の前にひとりで黙々とデザインするのではなく、いつも対話を通してデザインの方向性を見つけています。本当に人を惹きつけるモノをつくるのならば、対話が大事だと思っています。
本当に人とつながるモノを作り続けること
私たちは今、サステナビリティがこれまで以上に重要な時代に生きていると思います。20~30年前から環境やサステナビリティについて語られてきましたが、その多くは表面的だったように感じます。
これからは、もっと深いレベルで環境について話すべきだと思います。単に「エコであること」が目的ではなく、すでに世の中にはモノがあふれているという現実に向き合い、本当に人とつながる製品を作ることが大切だと感じています。
私が作りたいのは、“受け継がれるモノ”になるような製品。日々の暮らしの中で喜びを感じられて、いつか誰かに引き継げるような存在です。もし、そのモノが日々の中で喜びや感情を与えられないのなら、作る意味がないと思っています。
私は、ただの“モノ”ではなく、感情が宿る製品を作りたいのです。
インタビューを経て、
温もりを感じるハンドメイド製品でありながら、緻密さも表れている彼女のセラミック作品には、プロダクトデザイナーとしての経歴と、自由さを求めた彼女ならではの特徴が作品に見事に反映されていると改めて感じることができました。
先日Rinaが約1年ぶりにJAUショップを訪ねてくれました!今回の来日では、彼女のプロジェクトのために、佐賀県有田町にある窯元を訪問したりと、日本での活動にも力を入れているようです。今後もJAUが紹介するRinaに注目していてください!
新たな作品Marble Trayが販売開始いたしました!
JAUが紹介する“Tribe Earthのお香にぴったりなお香さらを作りたい”という会話から、アイディアが生まれ、ついに製品になりました。
制作段階の中に、実際に彼女のスタジオにも訪れて様々なサンプルを見せていただきながら、製品になったユニークなセラミックトレイです。
インテリアのアクセントにもなる、お香たて、お香皿、アクセサリートレイなどとしてぜひお使いください!